実家で暮らす高齢の親が心配で、呼び寄せを考えている人も多いと思います。
そのやり方は大きく分けて2つ。今住んでいる家に親を迎え入れる「同居」と、往来ができる範囲に部屋を借りて住んでもらう「近居」があります。
我が家も数年前に「同居」しましたが失敗し、結局親は実家に戻ってしまいました。
その経験を踏まえ「実家の親の”呼び寄せ同居”が失敗した理由」をまとめました。
お父さんとお母さんと同居したときは、うまくいくように努力したけど、今思うと失敗だったわね
そうだね。俺らにもストレスあったけど、両親もかなりのストレスだったみたい
でも今回の近居にその反省が活かされてるから、必要な勉強だったのよ
家族によって状況はそれぞれ違うけど、パパちゃんたちがした経験は一つの参考になると思うよ。記事にまとめたら
目次
呼び寄せ同居に至るまでの経緯
まずは、我が家の同居の経緯を説明します。
約10年前
我が家の父親が、60代後半にヘルニアの手術をしましたが、その後も痛みが残ってしまいました。父親は、痛みに対する恐怖からかリハビリもせず、どんどん歩けなくなりました
約 8年前
坂の多い町に住む実家の両親の暮らしは、父親が歩けなくなってくると一変しました。買い物などの外出は母親1人の仕事となり、家の中でも父親の介護負担が母親1人にのしかかりました
約 5年前
そんな生活を何年か過ごした後、母親の体と心が心配で、呼び寄せ同居をすることにしました。両親が75歳をすぎたころです。とはいえ、いきなりの完全同居はお互い厳しいので、期間を定めた半同居です。半年同居して3ヶ月実家に戻る、そんな形を2年ほど続けました。ちなみに我が家は3LDKのマンションです
約3年前
父親がパーキンソン病と診断されて少ししたころ、母親が「同居は止めて実家に戻って2人で暮らしたい」と言いだしました。父親にも聞いたところ「実家の方が良い」と言われました。これ以上同居を続けるのは難しいと判断し、実家に戻し同居は解消しました
約1年前
母親の体も弱ってきて、実家で老々介護を続けるのは限界と感じました。私も仕事が忙しく、実家に帰ることがほとんどできなくなっていました。そのため、「呼び寄せ近居」を提案しました(呼び寄せ近居については、別記事で紹介します)
呼び寄せ同居が失敗した理由
1.「親のためにしてあげている」という意識
失敗の一番大きな原因は、自分の意識でした。
・親を自分たちの家に住ませてあげている
・こっちが我慢して同居してあげている
・父親が歩けるようになるため、厳しいことを言ってあげている
・母親の負担を減らしてあげている
今思うと、当時の私はそんな意識でした。親を養ってあげている、親を良くしてあげているという上から目線です。
2. 親を自分のやり方に無理やり従わせようとした
このような上から目線だったため、それは態度にも現れました。
リハビリせずに歩けなくなった父親には、特に厳しい態度で接しました。
・リハビリをしたがらないのは何か原因があるかもしれないと、嫌がる父親を脳内科だけでなく、精神科に連れて行った
・外に出なければボケると思い、嫌がる父親を連れて外食や買い物に何度も連れて行った
・リハビリのためと言って、車椅子を使わないで歩く訓練を無理やりさせた
これらはすべて、「父親が歩けるようにしたい」という思いからでしたが、やり方が強引すぎました。
パパさんはよく「お父さんが言うこと聞かない!自分から努力しようとしない!」って、強い言葉で怒ってたわね
3. 新しい生活に慣れさせようと無理をさせた
新しく暮らす街に「少しでも早く慣れてもらえるように」としてきたことが、親にとって負担になっていました。
・母親の健康維持と友達作りのために、自分の入っていた近所のスポーツジムに通わせた
・60代のころ母親は英語教室に通っていたため、新しい街でも何かの習い事や教室に通うように薦めた
・仕事休みの週末は、できるだけ外に連れ出した
父親は外に連れて行こうとすると必ず「行きたくない」と言っていました。それでも父親のためだと思い車椅子に乗せて連れ出しました
お父さんはパパちゃんに文句言えないから、後になってお母さんに対して怒りをぶつけていたらしいわよ。お母さん可哀そう
4. 親の負い目に気づけなかった
特に母親には、同居させてもらっているという負い目がありました。そのため、自由で気楽な生活が送れていませんでした。
・親は早くから起きていたのに、会社出勤前の時間は忙しいだろうからと部屋から出てくることを遠慮していた
・会社が忙しく帰宅が遅いから、夕食の準備や洗濯などをしてくれていた
・犬を毎日散歩に連れて行ってくれていた
・高齢の親がスポーツジムで新しい友達を作ることも体を動かすことも難しかったのに、正直に言わず通っていた
また、母親は父親の介護についても「迷惑が掛かって申し訳ない」と気にしていたようです。
・父親のおもらしの匂いが家中に蔓延することや、おもらしでベットや部屋を汚してしまう
・父親が歩行器を壁やドアにぶつけ、傷つけてしまう
・廊下に手すりがないため、父親が手で壁を伝い手跡や汚れをつけてしまう
・父親の介護のために、風呂のすべり止めや、トイレの手すりなどを設置してもらっている
・外出する時はいつも車椅子を押してもらっている
最後に
呼び寄せ同居をする人は、「親のため」を思って始める人が多いと思います。我が家もそうでした。
しかし我が家では、その思いが間違った方向に行ってしまい失敗しました。当時は「なんでこうなるんだ?」「なんで分かってもらえないんだ?」と思ってずいぶんと悩みました。
今では、「呼び寄せ近居」という形をとっており、その関係はうまくいっています。この成功には「呼び寄せ同居」で失敗した経験が活きています。
当時は、一緒に暮らしてはいますが、実家で暮らしていた時より親は窮屈で不安な気持ちを抱えていたことでしょう。
今思えば、私も親に甘えてしまい、家政婦のような都合の良い存在として見ていたのかもしれません。母親に夕食を作ってもらったり、犬の散歩をしたりしてもらっていましたから。
親孝行のつもりで始める「呼び寄せ同居」で、親子ともが幸せになれるように。我が家の「失敗」をひとつの参考としてください。