親が歳をとり体が不自由になってくると、車椅子が必要になるときが来ます。
介護用品の難しいところの一つは、それをいつまで使い続けなければならないかが分からないことです。
車椅子もレンタルすべきか購入すべきかで迷うところです。
この記事では、親の介護に使う介助用車椅子のレンタルと購入についての実体験を紹介します。
ちなみにこの記事は、以下の状況下で車椅子を使っている我が家の父親の事例です。使う人の症状などによりとらえ方が異なる点をご注意ください。
・パーキンソン病で体が不自由なため、自分でハンドリム(タイヤの外側についている輪)を回す「自走式車椅子」は使えない
・母親が車椅子を押すことがあるため、軽量な「介助用車椅子」を使用
・車椅子は、週3日のデイサービスと週末の散歩に出かける時に利用
父親に介護用車椅子をプレゼントしてもう1年だね。それまではレンタルだったけど購入して良かったよね
レンタルしてた当時は介護保険使って毎月600円の負担だったから、1年で計算すると7,200円ね。金額的にはまだレンタルの方がお得だけどね
でもこれまで8年も借りてたから、600円×12カ月×8年でもう既に57,600円もかかってる。そう考えるともっと早く購入しても良かったかも
レンタルするか購入するかは、車いすを使う人の年齢や症状によって判断が変わってくるから難しいわね
どちらにしても、それぞれのメリット・デメリットがあるよね。迷ってる人の参考のため、車椅子を購入するに至った経緯などをまとめて紹介したら?
目次
車椅子のレンタル
父親の歩行が困難になってきた約8年前、当時担当だったケアマネジャーのすすめで、車椅子をレンタルすることになりました(要介護2以上なら介護保険を使ってレンタル可)。
定価は3,000円でしたが、介護保険を使うと2割の自己負担(600円)で済みました(基本1割負担。所得に応じて負担割合は変動)。
当時の父親は、まだ何とか杖をついて歩くことができました。しかし、いつ必要になるか分からないため、母親がケアマネージャーに相談しながら、レンタルすることを決めました。
車椅子「レンタル」のメリット
ケアマネジャーがレンタルをすすめた理由は次の通りです。車椅子を安心・安全に使うためには、介護保険を使ったレンタルにメリットがあるとのことでした。
・介護保険を使って安くレンタルできる
・レンタル用福祉用品は適用基準を満たしており安全
・福祉用具専門相談員が定期メンテナンスを行ってくれる
・状態の変化や体格の変化に合わせて、借り換えができる
車椅子「レンタル」のデメリット
一方、デメリットは何でしょうか。車椅子をレンタルすることにデメリットは感じませんでした。しかし、実際に8年間レンタルをしてみて、次の通り、レンタルのメリットを享受できた気はしません(あくまでも我が家のケースです)。
・定期メンテナンスでは特に問題もなく、毎回タイヤの空気を補充するだけだった
・父親はパーキンソン病の進行で杖で歩行することができなくなったが、特に車椅子を借り換えする必要もなかった
・負担は少額で助かるが、車椅子利用がいつまで続くか分からないため、毎月の支払が固定費のようになっていった
車椅子の購入
父親の体がより不自由となり、実家で両親2人で住み続けるのが厳しくなりました。そこで約1年前、我が家の近くのマンションに部屋を借り、両親をそこに住ませることになりました。
引越し先は実家と違う市町村であったため、介護保険の運営主体が異なります。そのためレンタルしていた車椅子は返却し、引越し先の市町村で改めて手続きしなおす必要がありました。
そのタイミングで、車椅子の購入についても情報を集め検討しました。
車椅子「購入」のメリット
車いすを購入する大きなメリットは見当たりませんでした。
そればかりか、車椅子は介護保険を使って「レンタル」できますが、「購入」はできない決まりとなっていることが判明しました。車椅子を購入する場合は、保険適用外で全額自己負担とのことです。
あえてメリットをあげるとしたら次のことでしょうか。
・自分の所有物なので、扱いに気を遣う必要がなく気楽
・自分の所有物なので、自由に装飾・カスタマイズできる
車椅子「購入」のデメリット
一方、車椅子購入のデメリットは次の通りです。
・介護保険が使えない
・メンテナンス(タイヤの空気補充等)を自分でやる必要がある
・壊れてしまった場合、買い替える必要がある
車椅子を買うことにした経緯
当初、車椅子の「購入」を決断するだけのメリットは見当たりませんでした。しかし、いくつかの店に足を運んでプロの意見を聞いたり、ネットで調べたりする内に、気づかなかった一面が見えてきて車椅子購入を決めました。
中古の車椅子
リサイクルショップ
以前、リサイクルショップで中古車椅子が売られているのを見たことがありました。そこで、リサイクルショップを周ると共に、いくつかの店に電話をしてヒアリングしました。
しかし、問い合わせたリサイクルショップで車イスを扱っていたのは9軒中2軒のみ。その2軒も扱っていたのは「自走式車椅子」ばかりで「介助用車椅子」はほとんど扱っていませんでした。
ネットにある中古車椅子の販売業者
「中古」「車椅子」「販売」と検索すると、いくつかの業者が中古車椅子を販売していることが分かりました。安いものであれば、送料入れて1万円強で売られていました。
新品の車椅子
介護支援ショップ
介護支援ショップでは、都道府県の指定を受けた販売事業者の福祉用具を扱っており、介護保険を使い介護用品を購入することができます。しかし、車椅子の購入は保険適用外のため全額自己負担です。
カタログで「介助式車椅子」を見せてもらいましたが、10~30万円する高額なものばかりでした。
イトーヨーカドー「あんしんサポートショップ」
イトーヨーカドーには介護用品専門の売り場があります。そこには「介助式車椅子」も売られていて値段は3万円程度でした。
なぜ「介護支援ショップ」の車椅子は高額なのか聞いてみたところ、「介護保険を使ったレンタル用車椅子の定価だから高額なのだろう」との返事でした。
また、「車椅子は介護される人の症状に応じて乗り換えていくものです。しっかりした背もたれが必要になったり、首の支えが必要になったり。そんな時、レンタルなら融通がききます」とも教えてくれました。
ネットにある新品車椅子の販売業者
ネット上には新品の車椅子を販売している業者がいくつもありましたし、Amazonのようなネットショップでも車椅子が売られていました。驚いたことに、その価格は2万円くらいからあります(メーカー希望小売価格の7~8割引きで販売)。
介護支援ショップに行った時に店員に「ネットで売られている車椅子はどうして安いのですか?」と聞きました。その回答は「よくわかりませんがおそらく外国製だから安いのでしょう」というものでした。
しかし、ネットで売られている車椅子の多くは「国産メーカー」の商品でした。
ネットは割引率が高いのです。
ネットで新品車椅子を買うことにした決め手
いろいろな場所で中古車椅子、新品車椅子を検討した結果、ネットで新品の車椅子を買うことにしました。
次のことがその決め手になりました。
・以前レンタルしていたのと同程度の車椅子が、ネットでは2万円程で売られていた(メーカー希望小売価格の7~8割引き)
・その車椅子はノーパンクタイヤを採用しており、空気補充の必要がないものだった
・その車椅子と同じものが「介護支援ショップ」のカタログには20万円ほどの値段で載っており、レンタルだと月々3,000円(2割負担なら600円)と書かれていた
・中古車椅子が1万円で新品車椅子が2万円なら、新品を買うことの方が魅力的だった
・将来、父親が使わなくなったとしても、母親やママちゃんの両親が使うことができるため
・もし車椅子が不要になった時でも、介護施設に寄付することができるという情報を得たため
最後に
介護に使う車椅子は、利用者の症状などによって選ぶ基準が異なります。
我が家の父親の場合、ネットショップで買える介助用車椅子で、必要なスペックを十分まかなえると判断しました。
そして、購入から1年が経過した今でも、特に問題もなく使い続けています。
最初に車椅子をレンタルした当時は、全てを母親に任せっきりでした。早い段階から関与していれば、車椅子を購入するという選択も取れたのかもしれません。
車椅子が必要になった時には、レンタルだけでなく購入も検討してみることをおすすめします。