悪い親子関係を修復・改善したいと心の中で思っている人はたくさんいます。親が高齢ならなおさらです。
しかし、一度こじれてうまくいかなくなった人間関係は修復が難しいもの。イライラがつのりストレスがたまります。
とはいえ、親との関係を修復することは、自分や家族が幸せな人生を送るために避けては通れない道。早ければ早いほどそのメリットも大きくなります。
この記事では、親子関係の悩みは”できるだけ早く”修復した方が良い5つの理由を紹介します。
あ~ 母ちゃんはいらん事ばっかり言ってきて本当に頭にくる。ウザいし、めんどうくさいし嫌になるよ
最近は自分の体調も良くないし、お父さんの介護も大変だから、きっとお母さんは不安なのよ
こっちだって忙しいんだよ。母ちゃんは齢とってから、より一層口うるさくなったよ
お母さん大丈夫かなぁ?新型コロナの影響もあって、最近はほとんど実家に帰れてないし
パパさん
怒ってばかりいないで、もっとお母さんを大切にしなよ。いつまでも親がいると思ってたら大間違いだよ!
目次
親子関係をできるだけ早く修復した方が良い理由
1. 突然のように起きる問題に対策・準備ができるから
親が高齢になってくると、突然のように問題が起こります。「死ぬこと」であれば避けることができないかもしれません。しかし、事前に把握できていれば、対策を打って避けられるものもあります。
・病気、介護、終末医療
・自転車や自動車などの事故
・心の悩み、心配(お金、老後の心配等)
・生活の不便(家の掃除・修理・リフォーム等)
・暮らしの不安(防犯、防災等)
・死後の対応(財産整理、墓、相続等)
もし、親との関係が良ければ、会話や生活の様子から、その問題の兆候が把握できます。その時点で手を打てていれば、大きな問題に至らずに済む確率も高まります。
2. 子供が背負う負担を軽減できるから
親と離れて暮らしていると、実家のことや親のことに目が届きにくくなります。仕事や家族のことで忙しければなおさらです。
しかし、親の問題、実家の問題は、遅かれ早かれ子供に降りかかってきます。その負担(お金・労力等)はできるだけ小さくしたいものです。
・親の病気、介護
・親の死、相続
・財産 (家・株など) や持ち物 (家財品など)の整理、処分
親子関係が良ければ、親が元気な内に力を借りながら対応することができます。親の協力があれば、子供の負担は減ります。
また、親子関係が良ければ、子供の生活状況・金銭状況に合わせ、無理のない範囲で対応することに理解をしてもらいやすくなります。これも、負担を減らすためには重要なことです。
3. 人生の「後悔」を減らすことができるから
若いころは親に対して、うざい、ムカつく、嫌いといった負の感情をもつことがあります。しかし、歳をとるにつれ、親に対して「感謝」や「いたわり」の気持ちを持つようになってきます。
株式会社PFUが20代~60代の男女551人に行ったアンケートでは、「人生で最も”親”に感謝しているが、その感謝を伝えられていない人が多い」ということが分かりました。
・親 (56%)
・恋人・配偶者 (25%)
・特にいない (10%)
・その他 (9%)
・伝えたことがない (44%)
・あまり伝えられていない (26%)
・そこそこ伝えられている (23%)
・十分伝えられている (2%)
・伝えるのが照れくさいから (56%)
・きっかけやタイミングがないから (48%)
・言わなくても伝わっていると思うから (10%)
・面倒だから (5%)
また、雑誌「PRESIDENT」が60歳以上の男性120人にアンケートを行いました。親子関係において「40代の生活を振り返って後悔していることは?」との問いに対して、次のような「後悔」が上位を占めたそうです。
・もっと親の顔を見に行くべきだった (31人)
・ぜいたくな旅行や食事に連れて行きたかった (26人)
・仕送りをしてあげたらよかった (15人)
・お金をもらいすぎた (6人)
・墓・遺産・相続の内容などを話し合っておくべきだった (6人)
「親孝行したいときに親はなし」
そんな後悔が残る人生にしないためにも、親子関係はできるだけ早く修復すべきです。
4. 歳をとると親のできることが減ってしまうから
歳をとるに従い、親の体力はみるみる落ちていきます。そして体のあちこちに不具合が出始め、生活に必要なさまざまな能力(行動力、判断力、問題解決力等)もがた落ちします。
子供からしたら、それは感覚的には分かっていることですが、なかなかその現実を受け入れられません。
スポーツ庁では毎年、6~79歳の男女を対象に国民の体力・運動能力の現状を把握する調査を実施しています。その結果を元に、子供と親の体力比較をグラフ化してみました。
これは親が25歳の時に男の子が生まれたと想定し、子供(青折線)の体力推移と父(緑折線)と母(赤折線)の体力推移を比較したものです。
子供が35歳を超えたころから親と子の体力差が大きくなると共に、経済的にも逆転する様子がイメージとして理解できます。
※なお、この調査では、次の3種目(握力・上体起こし・前座体前屈)以外の種目でも体力測定をしていますが、全年代(6~79歳)共通で行われた3種目のみグラフ化しています
子供の幼少期は親の体力が勝りますが、ある時点で「肉体的優位の逆転」が起こります(緑縦棒)。子供は25歳以降(大学卒業後と想定)「経済的自立(オレンジ範囲)」をしますが、親は60歳(子供は35歳)の時に「定年退職(赤縦棒)」します。
子供が現役として活躍している間(20~50代)に、親は肉体的に衰え、経済的に苦しくなっていきます。
グラフ化することで、「25歳を過ぎた段階で、すでに親と子の立場が逆転している」ことががビジュアル的に理解できると思います。
5. 親子関係を修復するには時間がかかるから
人間関係の修復には長い時間が必要です。ましてや身近な存在として、関係を積み重ねてきた「親子」であればなおさらです。
親子関係は人それぞれです。親から酷い仕打ちを受け、恨みや憎しみを持っている人もいるでしょう。親が怖い、親が嫌い、親がウザいというレベルの人もいるでしょう。
親子関係を修復しようとしても、多くの人は何度も失敗します。そして時間がかかります。
だからこそ、親子関係の修復はできるだけ早く始めた方が良いのです。
子供には子供の人生があります。自分の人生に「親子関係の後悔」を残さないためには、子供側から歩み寄るしかありません。
親から歩みよってくることは期待せず、自分の人生のために時間をかけて親子関係を修復してください。
最後に
親子関係の悩みは”できるだけ早く”修復した方が良い理由を5つ紹介してきました。
気づきにくいことですが、子供が歳をとっていくのと同じだけ、親も歳をとっていきます。しかし、その老いのスピードや直面する問題は、親の方が深刻です。
歳を重ねて「親に対して感謝の気持ち」が芽生えたとしても、それを行動に移さなければ何の意味もありません。
「自分に後悔を残さないため」「自分や家族の負担を減らすため」
自分のこれからを考えるならば、「親子関係の悩みは、”できるだけ早く” 修復した方が良い」ということになります。