長生きしている親を喜ばせたい。そういう思いを持った子供世代には、親の長寿を祝う「長寿祝い」は良いタイミングです。
親の長寿を祝い、親への感謝を表すことができる「長寿祝い」を使って、自分の気持ちを親に伝えてはいかがでしょうか。少し分かりづらい「長寿祝い」についてまとめました。
父親がもうすぐ80歳になるけど、80歳って「〇寿」だとかいうお祝いをするタイミングじゃなかったっけ?
たしか「傘寿」ね。今まで一度も長寿祝いしてこなかったから、このタイミングでお祝いしましょうよ
いいね。あれ、ネットで調べたら傘寿は数え80歳・満79歳とあるぞ。これってもう過ぎちゃったってこと?
う~んどっちだろ?それと長寿祝いって誕生日で祝うもの?それともその年が始まる正月に祝うもの?
地方によっては風習として長寿祝いのやり方が残っているところもあるみたい。でも最近は、自分たちの都合に合わせてお祝いするタイミングを決めてる家庭が多いらしいよ
目次
「長寿祝い」の種類
長寿祝いの種類と年齢
長寿祝いには次のような種類があります。喜寿、傘寿のように「〇寿」というものがほとんどですが、古希だけは違います。それぞれの長寿祝いの由来などは次の章で説明します。
なお、このほかに「還暦(数え61歳・満60歳)」もありますが、現代では60歳は長寿と言えないため、この記事からは抜いています。
名称(よみかた) | 年齢 | お祝いカラー |
古希(こき) | 数え70歳・満69歳 | 紫色 |
喜寿(きじゅ) | 数え77歳・満66歳 | 紫色 |
傘寿(さんじゅ) | 数え80歳・満79歳 | 黄(金茶)色 |
米寿(べいじゅ) | 数え88歳・満87歳 | 黄(金茶)色 |
卒寿(そつじゅ) | 数え90歳・満89歳 | 紫色 or 白 |
白寿(はくじゅ) | 数え99歳・満98歳 | 白 |
紀寿(きじゅ)or 百寿(ひゃくじゅ) | 数え100歳 |
下のボタンを押すと、年齢が自動計算できるサイトが開きます。親の誕生日を入力して、数え年や満年齢を計算してみましょう。
計算してみたら、父親はやっぱり満80歳で数え年だと81歳でした。しかし最近は「満年齢」でお祝いする人が増えているみたいだから、今年お祝いしてもいいってことですね
それぞれの長寿祝いの由来
古希(こき):数え70歳・満69歳
「古希」は長寿のお祝いですが、平均寿命が男性81.41歳、女性87.45歳(2019年)である現在では、この年齢は長寿とまでは言えません。
618-907年に栄えた中国の唐の詩人杜甫が「人生七十古来稀なり(70年生きる人は古くから稀である)」と言ったところから「古希」は来ています。当時は70歳を迎える人は「珍しいほど長生き」だったわけです。
しかし平均寿命が延びたとはいえ、健康寿命(健康でいられる年齢)は男性71.19歳、女性74.21歳です。旅行などイベントごとをプレゼントするのであれば、このタイミングは逃したくありません。
喜寿(きじゅ):数え77歳・満76歳
「喜(よろこぶ)」という字の草書体が七を3つ重ねた形()になり、七十七と読めることに由来しています
傘寿(さんじゅ):数え80歳・満79歳
「傘(かさ)」の略字が八と十を重ねた形になり、八十と読めることに由来しています
米寿(べいじゅ):数え88歳・満87歳
「米(こめ)」の字をばらすと八十八と読めることに由来しています
卒寿(そつじゅ):数え90歳・満89歳
「卒(そつ)」の略字が九と十を重ねた形になり、九十と読めることに由来しています
白寿(はくじゅ):数え99歳・満98歳
「百(ひゃく)」から「一」を引くと「白(しろ)」になることに由来しています
紀寿(きじゅ)・百寿(ひゃくじゅ):数え100歳
100年で一世紀というところから「紀寿」、100歳であることから「百寿」と呼ばれます
長寿祝いの年齢の覚え方は、漢字が元になっていることが分かれば覚えやすいですね
実際にどの日に祝えば良いのか
長寿のお祝いは本来「数え年」で祝うものでした。しかし、1950年に日本で「満年齢」が使われるようになって以降、「満年齢」が頻繁に使われるようになりました。近年では「長寿祝い」を満年齢でお祝いする人が増えています。
では実際にはどの日に、長寿祝いをしたらよいのでしょう
忙しい現代では、そのタイミングに正式な決まりはありません。「お祝いをする」という気持ちを大切にして、それぞれの家庭の事情に応じてお祝いする日にちを決めれば大丈夫です。
上の図は6月30日生まれの人をモデルとして、数え年と満年齢の違いをまとめたものです。
数え年では、生まれた日を1歳とし、以降、元日(1月1日)を迎えるごとに1つずつ歳をとります。一方、満年齢では、生まれた日を0歳とし、以降、誕生日を迎えるごとに1つずつ歳をとります。
数え年の80歳でお祝いをする場合は、本来、①のように元日(1/1)にお祝いすることになります。しかし、都合が合わなければ②の誕生日(6/30)までに長寿祝いをするのが一般的です。
また、満年齢80歳でお祝いをする場合は、②の満79歳の誕生日のタイミングで祝うケースも、③の満80歳のタイミングでも祝うケースもあります。
なお、住んでいる地方によっては、お祝いをするタイミングが風習として決まっている地域もあるようです。風習を気にする人は、それに従って行うのも良いでしょう。
どの歳の時に長寿祝いをすればいいの?
古希、喜寿、傘寿、米寿、卒寿、白寿、百寿と長寿祝いはいくつもあります。「いったいどの長寿祝いをすればいいの」と悩んでしまった時の考え方です。一つの参考としてください。
お祝いしたいと思った時が始め時
長寿祝いは全てやらなければならないわけでもありません。親が歳を感じさせないほど元気だったり、自分が忙しかったりと、いろいろな事情で長寿祝いをしてこなかった人もいるでしょう。
とはいえ、「親の長寿を祝いたい」「親に感謝を伝えたい」という思いになったならば、そのタイミングで長寿祝いを始めるべきです。
そして、その歳の誕生日を「長寿祝い」とあわせて少し盛大に祝うのがおすすめです。満年齢で祝うやり方です。
もし、長寿祝いを始めたタイミングが喜寿(77歳)だったら、傘寿(80歳)、米寿(88歳)、卒寿(90歳)と、親が元気でいる間は長寿祝いを続けます。一度長寿祝いを始めたら、親はおそらく次のお祝いも期待しているでしょう。そのため、途中で止めてしまうことはおすすめできません。
長寿祝いは、「親の長寿を祝いたい」「親に感謝を伝えたい」という子供の気持ちを表す絶好のタイミングです。
少し無理をしてでもすぐに始めるのが良い
歳をとると、体に起こる変化は急激で大きいものです。ちょっとした怪我から大きく健康を損ねたり、数カ月前までは元気だったのに、急に他界してしまうこともよく聞く話です。
「親が元気な内に旅行に連れて行こうと思っていたのに行けなくなった」、「親が入院してしまい実家でお祝いすることができなくなった」なんてことがないように、少し無理をしてでも「すぐに」始めるのがおすすめです。
長寿祝いのしかた
何よりも気持ちを伝えることが大切
長寿祝いのやり方は、親の健康状態や自分たちの経済状態など、さまざまな要因で変わってきます。子供たちだけで祝うケースもありますし、親戚を呼んで大人数で祝うケースもあります。
親が健康であれば、旅行先やレストランでお祝いをすることも考えられますし、体の具合が悪く外に出れないなら、実家で料理を囲んでお祝いするのかもしれません。忙しくて実家に戻れないなら、プレゼントや手紙をおくってお祝いすると言こともあり得ます。
いずれにせよ大事なのは「親を喜ばせる」「親の長寿を祝う」「親も参加者も良い思い出を作る」という気持ちです。その気持ちさえ伝われば、どこで祝おうが、プレゼントをしようがしまいが、どんな形でも構いません。
プレゼントの選び方
とはいえ、長寿祝いにはプレゼントを渡してお祝いするケースが多いようです。ネットを検索すると子供から両親に送るプレゼントの金額相場は、1万~5万とか2万~3万と言った情報が出てきますが、金額は送る側の経済状況や送りたいものの価格によって人それぞれです。
長寿祝いのおすすめプレゼントとして、お花、お酒、実用品、名入りグッズなどさまざまなものがネットで探せます。そのような記念となる「物」のプレゼントも喜ばれます。しかし、「長寿祝い」は、離れて暮らす親のためを思ってお金を使う限られた機会です。次のような視点でプレゼント選びをしてはいかがでしょうか。
・親にとっても子供にとっても思い出になるプレゼント
(旅行・レストランでの食事など)
・親の暮らしを安全・安心を増やすためのプレゼント
(ホームセキュリティ、防犯設備、見守家電、ネットワークカメラなど)
・親の苦労を減らし、楽させるためのプレゼント
(ハウスクリーニング、家事代行、リフォームなど)
・親の楽しみを増やすようなプレゼント
(タブレット、スマホ、遠隔コミュニケーションツールなど)
なお、高齢者には避けた方が良いと言われるプレゼントもいくつかあります。参考程度に載せておきます。
・悪いこと・ものを連想させるもの
くし(苦・死)
ハンカチ(手布⇒てぎれ⇒別れ)
寝具・パジャマ(長く寝る、寝たきり)
鉢植え植物(根付く⇒寝付く⇒寝たきり)
下着(肌に身につける⇒下につける⇒下にみている)
靴・靴下(踏みつける⇒下にみている⇒足蹴にする)
お茶(死・別れ:香典返しによく使われるため)
食器類(壊れやすい)
刃物類(切る⇒縁を切る)
白や青の花束(葬儀) など
・老いを連想させるもの
老眼鏡、補聴器、杖 など
もちろん、親の年齢や体の状態などに応じて贈れるものは変わってきます。外出が難しい親に旅行や外食は贈れませんし、食事が不自由な親に食べ物や食器類を贈るのもおかしな話です。
親の喜んでくれる姿を思い浮かべながら、その人に合ったプレゼントを選んであげてください。
最後に
「長寿祝い」のような古くから行われていた催し物は、これまでのならわし、住んでいる地方のしきたり、親戚との関係、家族構成などによってとらえ方が異なります。
そのため、長寿祝いを計画する場合は、自分だけでなく、親・兄弟などと事前に相談しながら進めることが必要になります。
また最近は、還暦(数え61歳・満60歳)だけでなく、古希(数え70歳・満69歳)になっても若々しく、長寿祝いを喜ばない老人もいると聞きます。
「親を喜ばせてあげたい」と思って計画した長寿祝いで、逆に親から不満を言われてしまっては子供の立場もありませんし、お互い気分のいいものではありません。
そのようなことが起きないように「長寿祝い」のタイミングを事前に把握し、時間をかけて計画していくことをおすすめします。